
長寿命化のための基盤整備にかかる施策
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6.マンションの長寿命化を図る法制の整備
マンションの長寿命化を図る法制として、「建替え原則主義」から「再生原則主義」へ移行させることが望まれます。すなわち、大多数の区分所有者が、現存建物につき、利便性や費用負担等の理由から、そのままの状態を維持・管理していくことは望まない場合に、特別多数決議により、建替えを選択ですることができます。一方、建物の「再生(改築・増築等)」(例えば、エレベータ棟の増築等)を選択することもできるように、法制の整備を図ることが必要であると考えます。
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7.長寿命化を地域で継続的に支える技術保有人材の育成強化
1.背景:人材の後継者不足により、長寿命化の障害になるおそれがある。
住宅産業界では、住宅施工の要となる大工技能職の高齢化が進行し、2020年には60歳以上の就業者が3割超となる予測です。今のうちに、住宅技術の承継のために若手技能者の養成を図るための枠組みが必要不可欠となっています。
(参考)大工就業者数と60歳以上就業者の割合
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1980年 |
2000年 |
2020年(推定) |
| 大工就業者 |
936千人 |
646千人 |
488千人 |
| うち、60歳以上就業者 |
6.6% |
19.1% |
31% |
国勢調査、H14 住団連「IT活用時代の品質管理と技能者の現況」)
2.施策:長寿命化をサポートする大工技能職など技術保有人材の養成
長い習熟期間を要する大工技能職の養成は、一企業一工務店での対応では限界もあり、大工技能職の養成を促進することが肝要です。
200年間を支える技術そのものが複雑にならないように留意するとともに、それを担う人材の育成が重要です。多能工など、多くの職種に対応できる人材も必要です。そして、幅広い知識と技能を要するリモデル技能職の養成も併せて実施する機関とすることで、住宅の長寿命化に対応できます。若者の就職先として技能にチャレンジする機会がつくられます。 |
8.既存住宅流通の統計データの整備
1.背景:住宅ストックの動態にかかわるデータの未整備が、政府・自治体及び企業の戦略策定を阻害し長寿化の障害になるおそれがある。
現在の日本には、既存住宅流通の正確な実態を把握する方法が欠如しています。5年毎の住宅・土地統計調査のみでは、対応が遅れます。既存住宅流通市場の正確な実態把握とその公開性は、住宅の長寿命化を図り、住み替えの円滑化を促進していく上で必要不可欠なことです。
主要先進国では、毎年、既存住宅流通量が公表され、データが整備されています。
2.省庁の連携による統計データの整備促進
法務局には、所有権移転情報など正確なデータがあり、その活用を図るべきです。滅失登記により、築何年で取り壊されているかがわかります。住宅の「使用可能年数」のベースになります。所有権移転で、住宅規模や築年数等がわかれば、買い替えの実態が判り、企業や行政の取り組みを活性化することになります。
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9.住宅を大切に長く使う国民意識の啓発
住宅を30年耐久消費財として取り扱っていた、大量生産・大量消費の時代は過ぎました。イギリスやアメリカのように、住宅を大切にして長く使う社会に転換する時がきました。
「家は建てるものではなく、探して住むもの」との意識の普及が必要です。そういうことが得だという状況づくりが必要です。良質な住宅ストックをつくり、それを国民共有の財産として、循環的に使用していくことで、全体の居住水準を向上させていくことが求められています。
200年住宅(20年×10回)のビジョンの実現を目指して、産官学一体となって国民意識の啓発にあたることが重要な鍵です。住宅所有者(オーナー)の意識の向上が欠かせません。個人の所有者、賃貸住宅のオーナー、マンション管理組合等の住宅の所有者が、住宅を長く使う力となります。住教育や住情報の提供の充実や相談体制の充実に取り組む必要があります。
また、アメリカのビルダーズガイド的なアドバイスも、有効なツールになるかもしれません。きちんとしたリモデルの大切さの啓発も取り組むべき課題です。
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10.熟成したまちなみを目指し、維持していくための支援
1.戸建団地を「一団の街区」として面的に維持・管理を支援する仕組みの整備・促進
戸建団地についても、今後、住宅を長期間にわたって適切な状態で使用する必要があります。また、戸建団地の居住環境を良好に保っていくためには、個々の住宅所有者が各々の事情に応じて自ら居住する住宅のみを修繕していくという考え方から、今後は、共同住宅における維持管理の仕組みと同様の、個々の一戸建て住宅の居住者が、自ら居住する住宅と戸建団地の維持管理について、より積極的に関与していけるような仕組みづくりの整備・促進が必要です。
例えば、アメリカにおけるHOA(ホームオーナーズアソシエーション)などが参考となります。
2.行政・都市再生機構等の主導による『モデル地区』の設定・開発
長寿命化に関する最新の技術とソフトの叡智を結集したモデル地区を設定し、開発していくことも、長寿命化住宅の普及の起爆剤としての効果を発揮するものと考えます
3.地区計画、建築協定を支援しまちなみをつくり維持していく方策
熟成し住みやすい住宅地をつくっていくために、住民参加の地区計画・建築協定づくりを支援していく必要があります。
住宅業界のまちなみコーディネーターは、行政と住民との橋渡し役としてのアドバイザーとして、積極的な役割を果たすべきです。
地区計画では、最低敷地面積基準を決めるべきです。また、建物目的別に詳細に、その地域が目に見える形で計画されることが必要です。
敷地の細分化を禁止する条例も、芦屋市六麓荘(400m2以上)、田園調布(165m2以上)など、各地で始まっています。
4.コミュニティづくりの重要性
そして、何よりも、まちなみを形成し維持発展させていく基本は、その住宅地のコミュニティづくりです。その住宅地に住んでいる人が“わが街”といえる愛着ある住宅地づくりが理想です。
地域コミュニティの発展を通して、住宅生産者も行政も生活者も一体となって、サステイナブル・タウン(維持発展しつづけるまち)を目指すべきです。
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11.既存不適格問題への対応
住宅の長寿命化を推進していく場合、その100年から200年の長期に及ぶ期間の間に、建築基準法や都市計画法の既存の各種法制度が変更され、規制強化される可能性があります。仮にそのような状況となった場合、長寿命な住宅が、どんなに高い評価を受けられる住宅であっても、既存不適格物件となってしまう可能性があります。
ついては、既存の各種法制度の基準強化により既存不適格となってしまう場合については、長寿命な住宅を更新・再生を行い利用していけるために、何らかの支援策を構築していくことが、肝要です。そうすることで、住宅取得者が安心して長寿命な住宅の建設に向かうことができます。 |

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