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住宅の長寿命化を実現するための提言


長寿命化に向けて直接的な効果をうむための施策

1.第三者性の高い住宅評価システムの確立

1.目的:既存住宅流通市場において、長寿命化に沿った評価システムを導入
長寿命化にふさわしい評価システムをつくるために、現行の30年スパンの評価軸を、100年から200年の長期のスパンの評価軸に延伸します。

2.内容:信頼のおける透明な住宅評価システムの構築
A)住宅が土地の付随物として扱われることから脱却するために、住宅と土地を分けて価値評価し、それぞれを独立して評価結果を提示します。
B)在来の築年数をベースにした評価方式から決別し、適切なメンテナンス、更新をすることで若返る、米国型の「使用可能年数」方式を採用します。
C)住宅の使用価値に応じた資産価値評価
・各部品の耐用年数等、技術的信頼度の高い判定を行えるようにします。
・精度向上ための評価技術開発を産学官が連携して進めます。(例 振動センサー設置によるIT活用型耐震性自動診断技術、温湿度センサー設置によるIT活用型劣化診断技術)

3.留意点:
1) 住宅需要者、仲介業者、金融業者など様々な関係者が容易に利用できること
2) 評価料金が著しく高価にならないこと
3) 事業者が買い取りリスクを負えるだけの評価精度を実現すること
4) 第三者性を有する評価機関が、産業構造の変化に伴う経験深い人材の雇用受け皿ともなりうること
5) 質的にも量的にも対応できるよう、評価員を育成すること
6) 既存不適格など高い評価を得られなかった住宅に対して、更新・再生利用のための支援が必要となること
2.住宅履歴情報 及び 定期点検・メンテナンスの普及

1.住宅及び設備機器などの定期点検・メンテナンスの普及
約20年毎の点検・メンテナンスを国民的ルールとして普及させることが肝要です。躯体については、耐震性、防蟻、防腐などを点検チエックします。設備機器などでは、ITネットワークを用いた性能モニタリングを活用します。

2.住宅履歴情報(住宅に関する性能及び履歴の情報)作成活用の促進
1) 性能及び履歴の情報の散逸を防ぐための、収集・整備・活用する支援ツールの開発・普及を図ります。
2) 住宅履歴情報を所有者・居住者及びサービス提供者が共有及び秘密保持するための社会システム・情報システムの整備を図ります。
3) 相互メーカー間の情報開示
当初の住宅生産者以外の業者がリモデルについて参加される場合があります。その場合に、住宅の所有者に伝えるべき最低限必要な基本情報に関するルールをつくり、次世代がその情報を利用できるようにすべきです。
点検・維持管理における部材・部品の情報開示についても同様です。
4) 住宅履歴情報の住宅資産価値評価・既存住宅流通における活用
売却時における売主からの住宅情報の開示は、住宅の資産価値としての評価に活用できると同時に、買主にとっても安心して取引ができることとなり、重要なポイントです。
イギリスでは、2006年6月任意の制度としてスタートし、2007年6月1日より売主に義務化される「住宅情報パック(Home Information Pack)」という制度があります。

(参考)英国のインフォメーションパック

HIP構成内容;(1)目録 (2)取引内容解説書 (3)住宅利用状況確認書 (4)住宅内容確認書 (5)登記書、登記関係書類、地籍図等 (6)必要な場合における賃貸契約書や共同利用、区分所有などの契約書 (7)新築の場合の保証書 (8)その他の保証 (9)住宅性能報告書 (10)省エネ性能証 (11)未完成物件の場合の報告書 (12)安全や建築内容、修繕やメンテナンスに係る証明 (13)ユーティリティや環境、洪水、汚染、修繕義務などに関する標準的な検査証等 (14)共用部に関する情報 (15)リースホールドに関する情報
*(7)(8)(9)は任意
費用;流通業者や検査会社が作成の場合は600〜700ポンド。
その他;仮合意から12週間かかっていた住宅取引の期間短縮に寄与する


5) 住宅履歴情報は住生活支援サービス(耐震診断、省エネルギー診断、リフォームの適切な実施)においても活用できます。

3.住宅部品のトレーサビリティ管理システムの構築とその活用
法により義務づけされた火災報知器の設置に際し、ICタグを利用したトレーサビリティが導入されようとしています。今後住宅部品等への活用・普及が期待されます。

4.一戸建て住宅における長期修繕計画の策定、修繕積立金の積立を支援する仕組みの整備・促進
3.定期借家権を活用した「スケルトン賃貸方式」パイロット・プロジェクトの実施

1.目的:共同住宅における区分所有による合意形成問題の解決
スケルトン部分の所有者を1人(法人)にすることで、共同住宅のスケルトン部分について長期に亘る点検・修理のみならず、時代変化に合わせた付加価値を向上させる増改築等を円滑に行えるようになります。すなわち区分所有による合意形成での多くの労力と時間を省くことができます。

2.内容:
1) 区分所有建物の共有部分全部を一人の者が所有し、各専有部分を賃貸の対象とします。
2) 定期借家権(15年〜30年)によるスケルトン賃貸とし、設備・内装は賃借人が実施し、賃借権の譲渡・転貸を認める。賃借権の担保仮登記により、金融機関の融資をうけます。
3) 転居・売却の場合は、賃借権と設備・内装を合わせて売却します。
4) このためのパイロット・プロジェクトの試行等を検討すべきです。
4.住宅価値をベースにした住宅金融の発展

1.住宅ローンが家計を破綻させるリスクを低減させる→家計の安心向上
長寿命な住宅の供給・普及に伴い、既存住宅市場が豊かなものになると、既存住宅へのニーズが高まってきます。そうした中でさらに既存住宅市場で、住宅価値の正当な評価がなされれば、住宅価値をベースにした住宅金融が展開されるようになります。これからの住宅金融は、返済者個人の信用に依存させるのでなく、むしろ主として住宅そのものの価値に対して融資がなされるようなしくみに転換していくことが必要です。
長期に亘って減価しない住宅にあっては、家計を破綻させるリスクは少なく、むしろ家計の将来の安心度を高める効果を有しています。

2.担保を対人重視から対物重視へ
1) ノンリコースローン、リバースモーゲージ、ホームエクイティローンなど、住宅価値を担保にした住宅金融システムの発展を図るべきです。
いずれも既にアメリカで実現されているローンです。現在日本では賃貸住宅で一部利用されているノンリコースローンも、実物審査をベースにした信頼のおける住宅評価の進展とともに、検討されて然るべきです。また、ホームエクイティローンも、住宅価値が減少しない市場形成の発展とともに、活用していけるしくみが普及できます。
既存住宅流通を活性化し、維持管理に注力し、耐久性を高める投資が適切に促進されます

(例) (ローン商品の効果)
ローン商品 内 容 効 果

ノンリコースローン

求償権は当該ローンの担保物件にだけ遡及

自己資金リスクはありますが、将来のデフオルトに備えられ、住宅取得に伴う過剰なリスクから解放されます(安心した住宅取得)
職業や男女など、人による融資差別が必要でなく、住宅金融全体が効率化されます

ホームエクイティローン

使途自由な住宅担保のローン

失業や病気などの場合の安全弁となります(経済全体のクッション役)
リモデルへの投資や消費など豊かな生活への支援となります

リバースモーゲージ

住宅担保で融資をうけ、返済は一括して担保物件の売却などで行う

老後の生活資金を補完する年金的な役割をもっています。(住宅資産の年金化)


2) スケルトンを対象とした超長期ローンと、インフィルを対象とした短期ローンの組み合わせ(二階建てローン)も可能となります。
3) 既存住宅購入時の購入者によるリモデルの円滑な実施を支援する既存住宅とリモデルを併せた一体型ローンの検討もすべきです。

3.その他
まちなみや街区づくりに関する地域住民の取り組みを支援する融資等の展開
住宅価値が高まり、住みやすい地域づくりできるように規制強化等の制度改善を行い、支援する融資等を増大します。
金融機関の地域づくりへの貢献が促進されるような措置を講じるべきです。
5.長寿命化に整合した税体系を確立し既存住宅市場規模を拡大

1.税負担を取得時負担から保有時負担とすることで税負担の公平性バランスをとる
住宅の長寿命化を目指すことは、住宅が30年の耐久消費財という固定概念から脱皮し、100年超の社会的資産として位置づけることになります。200年住宅(20年×10サイクル)においては、持ち家から借家、また持ち家へなどその関係も所有者も変化します。当初の住宅取得者はもとより、長寿命化の便益は5〜6世代にわたることになります。
したがって、税負担のあり方も“長期に広く薄く”という考え方が合理的です。
現行の取得時に過大な負担を求める税制から、取得時の税負担を軽減し、保有時の負担に移行することで、税負担の世代間における公平性を確立すべきです。
また、各種流通課税の軽減を図ることで、住宅流通を増加させ、全体として既存住宅市場規模を拡大することになります。

2.長寿命化にふさわしい住宅の消費税の取り扱い
長寿命化はスケルトン・インフィル住宅の促進が基本となりますので、その場合住宅の消費税についての考え方は、整理すべきです。
例えば、スケルトン部分とインフィル部分に区分して、スケルトン部分は社会的資産として土地と同様な扱いとすべきです。

3.既存住宅取得に係る消費税の非課税化
現行の個人間取引の場合は非課税で、企業が買い取り売却した場合は課税ということは、税負担の公平性から見直しを図り非課税とすべきです。長寿化のために、企業が買い取りリモデルし、安心な住宅として売却していく動きは現在活発化しています。
長期に減価しない住宅で、既存住宅にも課税されると2度、3度と高額な消費税が課税され、その便益との較差が拡がることになります。逆に、消費課税により、住宅価値を不当に低めに誘導するという歪みが生じかねません。

4.不動産取得税、印紙税の廃止、登録免許税の手数料化
(保有税への一本化・簡素化)
不動産取得税;住宅取得が比較的富裕層に偏っていた時代の税制であり、平均的な勤労者が住宅取得の大半を占める今日においては、特段の担税力を認めることは不都合であり、消費税との二重課税との問題もあり、廃止すべき税といえます。
印紙税;文書に捺印することで納付する印紙税は、電子化された取引との整合性がとれず、同一取引に対し、不動産取得税、消費税と合わせて3重課税となっていますので廃止すべきです。
登録免許税;登記業務を維持するための費用として、物件の評価の多寡によらず、一律の手数料を徴することが妥当です。

5.その他の税制の整備
固定資産税の建物評価のあり方の見直し、敷地の細分化を防ぐための相続税の見直し、リモデル促進のための税制の充実、持家売却時の譲渡所得の計算(減価償却費計上)の見直しなど、住宅の長寿命化にふさわしい税制への整備が必要です。

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  (協力:社団法人 住宅生産団体連合会
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  (協力:社団法人 住宅生産団体連合会)

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